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大手調剤薬局破綻とM&A

2022年3月の話になりますが、東京都に本社を置く調剤薬局大手クラフト株式会社(さくら薬局グループ)が、事業再生ADR手続きを申し立てを行いました。

事業再生ADRとは、裁判所を介さずに金銭債権者等と債務者との合意に基づき債務を猶予・減免するなどの手続きを行う「私的再建手続き」の1つで、事業を続けながら再生を目指す制度の事ですが、事業再生ADR手続きは原則非公表で、債務者自身と対象債権者以外は知るすべがない様です。しかしながら原則、全対象債権者の合意が必要で、合意を得られなければ法的手続きに移行する可能性もあるとの事です。

クラフト株式会社(さくら薬局グループ)は、売上が業界第3位(1907億円2021年3月)で店舗数は、業界第2位(全国1,002店舗)の展開している大手薬局チェーンです。

2010年3月期より中小の調剤薬局への積極的なM&A戦略を展開し、グループの店舗数を270店(2007年12月時点)から1000店超まで急拡大した薬局でもあります。

そのM&A資金を50行超の金融機関から約500億円を調達する事でまかない、その借入の返済負担が経営の重荷となって行ったのと、「新型コロナウイルス」感染拡大で、医療機関への通院が減少し、調剤報酬が大幅に落ち込み、資金繰りが悪化したのが原因と見られております。

債務は1000億円ほどと見られていますが、金融機関に対し債権カットは求めず、今後の返済額や期間の変更を求めるとみられています。

2010年から単純計算で1年に約67店舗ずつ拡大してきたことになり、有利子負債は2008年3月期末に87億円しかなかったとの事ですが、その結果、直近で1000億円規模までに膨らんでしまったことになると思います。

つまり、「買収した調剤薬局の調剤報酬を担保に金融機関から買収資金を借りるという」手法でM&Aを積極的に展開していったが、コロナ禍で処方元の患者減イコール処方箋の減となり、調剤報酬が予定通りに入って来なかったと言う事だろうと思います。

決定付けたのは、20年3月に「さくら薬局会津若松店」(福島県)が厚生労働省東北厚生局から保険薬局指定の取消処分を受けたことではないか?と考えています。

しかし、綻びはもっと前からあり、企業の口コミサイトを見ても、「M&A後、退社する人がほとんどで、求人しても入ってこない。人手不足の上、次から次へとM&Aを繰り返す。以前より仕事量が増えるのに給与は激減されます。」とか「M&Aなので、変わってからは待遇は下がるし、同僚は辞めて行く一方で新しい人は入ってこず、応援者がたまに来るだけでした。患者さんの為の薬局ではなくて、会社の為の仕事が多い気がします。」などのコメントをみると、2017年頃からその兆候はあったと思います。

ある調剤薬局専門のM&A会社の経営者が、「クラフト株式会社(さくら薬局グループ)の事実上の破綻は、自社のM&Aの戦略変更を余儀なくされた。」と言っていました。

つまり、売り手があっても買い手が見つからない状態に陥ると言うことです。

私の知っている某調剤薬局のオーナーから、「2022年の3月いっぱいで閉局したい。」との話があったのですが、「薬局を売りに出したが、結局買い手が見つからなかった」らしいのです。

そういう事例は、今後各地で起きるだろうと推測します。

クラフト株式会社(さくら薬局グループ)のいまのところ最終的な事業再生計画案の決議は10月を予定している。との話ですが、予断を許さない状況かと思います。

参考:令和2年3月5日 東 北 厚 生 局 保険薬局の指定の取消

 

 

 

 

 

 

 

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