まず、5月24日にIQVIAが、2021年度（21年4月～22年3月）の国内医療用医薬品市場（薬価ベース）が前年度比3.3%増の10兆6887億円だったと発表した。
統計には、政府が一括購入している新型コロナウイルスワクチンの売り上げは含まれない。
（年度：４月～３月）
国内市場が会計年度で前年度を上回るのは2年ぶりということになる。
その内訳を施設別にみると、●病院（100床以上）4兆9676億円（前年度比5.1%増）●開業医（100床未満）2兆4億円（0.4%増）●薬局その他3兆7207億円（2.6%増）で、これも前年度を上回るのは2年ぶりということになる。
薬効別でみると以下の表の通りになる。（すべて薬価ベース）
売上上位10薬効をみると、１位の「抗腫瘍剤」は１兆6791億円（前年度比10.6％増）で、市場全体の15.7％を占めた。
７位の「診断用検査試薬」（3092億円、42.2％増）は、今回初めてのトップ１０入で、新型コロナの感染拡大を背景に、関連する検査試薬が相次ぎ発売されたことが理由となる。
次に医療用医薬品で見ると以下の通りになった。（すべて薬価ベース）
１位、２位、５位、６位が抗悪性腫瘍剤で、３位、７位は、消化性潰瘍・逆流性食道炎治療剤で、４位は、経口FXa阻害剤（抗凝固薬）、８位は、V2-受容体拮抗剤（利尿剤及び抗ホルモン剤）、９位は、アンジオテンシンII受容体拮抗剤（血圧降下剤）、１０位は、眼科用VEGF阻害剤（加齢黄斑変性治療剤）だった。
トップ１０の中で、武田薬品製造の薬剤が２つ入っていることは、流石としか言いようがない。
国産の薬剤が、１位オプジーボ、３位タケキャブ、４位リクシアナ、８位サムスカ、９位アジルバの昨年同様に５製剤もランクインしているのはうれしい。
リピトールやリリカなどトップ１０入に必ず入っていたファイザー製薬の名前はないが、ジェネリックの発売の影響であるためで、理由はわかっている。
2021年度も世界NO１のメーカーの地位は揺るがなかった。
他の薬剤もジェネリックが出ればすぐに置き換わっているを見ると、いずれこの製剤も消えていく運命に違いないが、日本のメーカーは創薬に力を入れないと外国のメーカーから買収の危機はいつも付きまとうに違いない。